講演会の要旨:
最近では,臨床試験の統計解析計画が活発に議論されています。たとえば,昨年6月には「ICH E9 臨床試験のための統計的原則」の補遺に関するstep 2文書が作成され,欠測値の取り扱いに“estimand”という新しい概念が導入されました。また,昨年12月にはthe Journal of American Medical Association(JAMA)に臨床試験の統計解析計画書の内容に関するガイドラインが掲載されました。このため,医薬品や医療機器の承認申請を目的とした治験に限らず,臨床試験をデザインする際には,欠測値の取り扱いを含めてプロトコールや統計解析計画を十分に検討することが必要となってきています。
こうした背景を踏まえて,日本メディカルライター協会ではプロトコールや統計解析計画書をテーマとした講演会を開催することとしました。臨床試験に関心をお持ちの方のご参加をお待ち申し上げます。
講演内容: JAMAに掲載されたGuidelines for the Content of Statistical Analysis Plans in Clinical Trialsの内容を紹介するとともに,欠測値の取り扱いが問題となる背景を解説します。
14:50〜15:50
非統計家を対象としたICH E9 (R1) の解説
横浜市立大学医学研究科 臨床統計学 田栗 正隆 先生
講演内容: ICH E9 (R1) Estimands and Sensitivity Analysis in Clinical Trials(日本語訳:臨床試験におけるestimandと感度分析)のstep 2文書の内容をわかりやすく解説し,生物統計を専門としない参加者にもその基本的な考え方と重要な点を理解していただけるようにします。