◤事例集:事例No.39
- 分類:Disclosure
- 検討時期:2025年4月
- トピック
- COIの取得や管理について
- 経緯・背景
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・日本のアカデミア著者間においても利益相反開示の必要性について理解が進み、ICMJE COIフォーム1)も馴染みのあるものとなりつつある。そのため、近年ではCOI取得で大きな困難に直面することは以前と比べると少なくなっている。一方で、著者のCOI開示が不十分だった際の対応方針については判断に迷うことがある。・具体的には、スポンサー企業との間で金銭的授受があるにも関わらず「開示すべき利益相反はなし」と著者が申告してきた場合はどのように対応をすべきか。「自社との利益相反は少なくとも開示してもらう」または「利益相反は著者の自己申告を原則とする」など、企業や担当者によっても対応方針が異なることがある。
- 討議内容
- 各社でCOIの取得や管理について工夫していることや統一している方針、プロセスはあるか。意見や事例を共有、討議した。
- 論点及びほかの選択肢
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・事実と異なる開示や不十分な開示は著者自身に迷惑をかける結果になりかねないため、自社(スポンサー企業)に関する利益相反については少なくとも開示をお願いすることが望ましいという意見が多かった。・不十分な開示について、出版後にジャーナルから指摘され訂正が必要となった事例もあり、注意が必要である。・不十分な開示を避ける具体的な運用例として、以下の方法が各社から紹介された。・著者に利益相反として該当する自社からの支払い一覧を共有し、確認を依頼する。・Corresponding Authorから共著者へ確認と念押しをしてもらう。全著者のCOI開示が適切であることを保証する書式へのCorresponding Authorのサインを要求するジャーナルもある。・学会によって開示基準が異なる場合があるため、注意が必要である。特に国内学会は項目ごとに開示すべき金額の下限が設けられていたり、海外学会やジャーナルで一般的に適用されるICMJEの基準とは異なることが多い。著者に基準の詳細を明示した上で、確認を依頼する。・ジャーナルにおいても、開示対象が「当該研究に関するもののみ」もしくは「広義で関連するものもすべて含む」など、基準が異なることがある。投稿規定を十分に確認し、著者に明示の上で確認を取る必要がある。・臨床研究法におけるCOI管理データベース構築が厚労省により進められている。将来、PublicationにおけるCOI収集・管理に活用ができるかもしれない2)。
- 参考情報
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1) ICMJE - ICMJE | Disclosure of Interest