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事例集:事例No.37
  • 分類:Review Process
  • 検討時期:2021年11月(更新: 2025年4月)
  • トピック
  • ドラフトレビュー時に著者間合意済みの論文方針に沿わない指摘を繰り返す著者への対応
  • 経緯・背景
  • ・企業がスポンサーとなって実施した研究において、全著者の合意を得たアウトラインを元に論文ドラフトを作成(企業の社内レビューを経て改訂)後、外部著者(複数)にレビューを依頼した。その際、外部著者の1人(著者A)から、論文の方針に沿わない同じような指摘を2回にわたって繰り返し受けた。その結果、レビュー完了までに想定以上の時間がかかり、投稿が遅れることになった。
    ・レビュー結果の取りまとめはCorresponding Author(社内著者の1人)に一任されていたが、レビュー結果の反映には著者間での優先順位はなかった。外部著者へのレビュー結果の反映の報告・説明はPublication managerまたは進行担当者が行ったが、その際には他の著者のレビューコメントは開示せず個別に行った。またCorresponding Authorの判断により、その都度、全著者の了解を必ず得ることとなった。
  • 討議内容
  • ドラフトレビュー時に著者間合意済みの論文方針に沿わない指摘を繰り返す著者への対応とそれによる投稿の遅れについて、原因は何か、どのような対応策があるかを討議した。
  • 論点及びほかの選択肢
  • ・想定される原因としては、次の3点が考えられた;①著者Aがアウトラインでの合意内容を忘れていた ②著者Aが、本研究がフォーカスしている分野ではない自身の専門分野に引っ張られていた ③外部著者全員からの指摘がなくなるまでレビューを繰り返した。
    ・GPPでは「相反するコメントがある場合は、著者やその他の貢献者間での協議を通じて合意に達する必要がある。もしそこで意見が対立する場合は、筆頭著者が解決案を提示することも求められる」1)とされており、時間をかけてでも全著者の納得度が高い状態となるまで協議することが求められる。
    ・長引かせない工夫として、合意のための会議を設け筆頭著者またはCorresponding Authorにそのリードを取ってもらう方法や、筆頭著者またはCorresponding Authorから著者(個別の場合は直接著者A)に、指摘を採用できないことを説明してもらう方法などが挙げられる。指摘を採用しないことになった時点で説得する(次のバージョンに持ち越さない)ことも重要かもしれない。レビューコメントを著者間で見える形にする方が、ディスカッションが活発に行われスムーズに合意が得られる場合もある。GPPでは著者コメントを互いに見える形にすることが推奨されている1)