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事例集:事例No.36
  • 分類:Review Process
  • 検討時期:2023年1月 (更新:2025年2月)
  • トピック
  • 論文作成の際に複数の著者から円滑にコンセンサスを取得するための方法と工夫
  • 経緯・背景
  • 著者への骨子案の校閲プロセスとして「全著者に個別に骨子初案の校閲を依頼→全著者からの校閲での意見を反映した骨子の第2案を作成→再度全著者に個別に校閲を依頼」としていたが、本プロセスでは各著者が校閲した初案から第2案が大幅に変更されていたため、校閲サイクルを何度も回すことになり、内容確定までに相当の時間を要した。
    そのため、その後の論文原稿の校閲では「責任著者に校閲を依頼→責任著者からの校閲での意見を反映した原稿案を作成→その他の著者に個別に校閲を依頼」というプロセスに変更し、全著者からプロセス変更に関する同意を得たうえで校閲プロセスを進めたところ、より短時間でコンセンサスが得られた。
  • 討議内容
  • ・複数の著者の校閲からコンセンサス取得まで、どのように進めているか。
  • 論点及びほかの選択肢
  • ・著者による論文骨子や原稿の校閲に入る前に、各著者に対して校閲プロセス全体の説明を行い、理解を得ることが望ましい。
    ・校閲は全著者が実施するが、校閲プロセスにおける協議は責任著者を中心に行う。著者からの校閲での意見に関して協議が求められる場合には、責任著者と企業、必要に応じてその他著者による協議が検討される。なお、決定事項の説明や協議の調整は企業が担うことが多い。
    ・著者全員に校閲を依頼する際、メールやパブリケーションマネジメントツール(Datavisionなど)が一般に活用されている。メール送付の宛先を「個別」にするか「一斉」にするかについては、状況に応じて判断されている。対応の具体例として、全著者に一斉に校閲を依頼し、レスポンスがない著者に対しては個別でメールをする方法が挙げられる。
    ・各著者による校閲内容の開示要否については、状況に応じて判断されているが、GPPで全著者校閲が推奨されている1)ことから、開示している企業が主である。開示する理由として、著者同士のトラブル回避、著者同士の議論の活性化、海外では一般的に開示されていることが挙げられる。一方で、著者間の関係性に配慮が必要な場合などがあり、開示しない判断がとられるケースも少なくない。
  • 参考情報
  • 1) DeTora LM, Lane T, Sykes A, et al. Good Publication Practice (GPP) Guidelines for Company-Sponsored Biomedical Research: 2022 Update. Ann Intern Med. 2023;176:eL220490.