PatientsLikeMeの紹介

すでに様々なところで話題になっているのでご存知の方も多いと思いますが、ボストンの隣街ケンブリッジ
で立ち上がった、患者体験共有型のオンライン ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)PatientsLikeMe
(http://www.patientslikeme.com/)が注目を集めています。R&DのDirector であるPaul Wick氏に電話でお話を
伺える機会がありましたので、簡単に紹介させていただきます。

PatientsLikeMeは難病(ALS、多発性硬化症、パーキンソン病、HIV/AIDS、稀少疾患など)の患者さんが参加する
無料のオンラインコミュニティです。患者さん同士が実際の経験や結果を共有することで新しい情報を得、
それにより患者さんの生活がより改善されることをミッションとしています。そのために情報を集めて共有
しやすいシステムを作っており、疾患関連の医学情報を全て共有することができるよう、使いやすく臨床的
にも妥当性が確認された結果管理ツールを利用しています。参加者はそこに自分の情報(日々の検査値デー
タなど)を入力することで病状を管理できますし、集積されたデータは研究者も共有できます。ウエブサイ
トのデザインは、個人の経験を共有しサポートし合える社会的関わりを形成できるように工夫されています。
また、臨床試験のリクルートも実施しています。

このサイトは、筋萎縮性側策硬化症(ALS)で弟を亡くしたHeywood兄弟が2004年に設立し、現在は大き
な団体に成長しています。PatientsLikeMeが目指す目的には、米国のヘルスケアを改善したいとの目的も含
まれています。そのために、政府や製薬企業に働きかけられる影響力を持ちたいと、その活動に力を注ぐた
め、資金集めに奔走する必要がなく資金提供先への気兼ねがない営利企業という形をとりました。

主な参加者は患者さんや家族・caregiverで、退会や再入会は容易にできます。患者さんの友人や医師、研究
者などもゲストとして登録しています。医師や研究者が登録する場合は所属先を確認しています。参加者が、
あるトピックについて議論できるdiscussionフォーラムでは、定期的にその内容をチェックしており、内容
が妥当であるかの確認も行っています。今後は、コミュニティを増やして、糖尿病やがんなどの疾患も含め、
様々な難病を網羅することを当面の目標としています。

日本からの参加者は、2010525日の時点で24名。英語を使用している参加者が数人で、その他の方は
Google Translate(http://translate.google.com/#ja|en|)を使用して英語圏の患者さんとコミュニケーションを
とっているようです。PatientsLikeMeは今のところ英語以外の言語に展開する予定はなく、こうした翻訳ソ
フトを介して異言語間でのコミュニケーションが活発になることを期待しているとのことです。

なお、上記内容は20106月時点のものです。